西洋豆本の世界
Part 3
ファリーノ、グノッチ、サルミン兄弟と彼らの職人たち・・・。 いったい何が彼らを豆本の世界へと駆り立てたのでしょうか?
恐らく、彼らの本づくりへの限りない情熱、職人としての誇りとチャレンジ精神が、彼ら自身をより小さく困難な世界へと傾倒させていったのでしょう。
左:ダンテ「神曲」右「ガリレオの手紙」
1896年 イタリア
彼らの精神は今の世にも受け継がれ 現代でも幾人もの印刷・造本工芸家たちが、自らの職人技と独創性のデモンストレーションとして、豆本の創作に情熱を注いでいます。
また、フランス皇帝ナポレオン一世は、持ち運び便利な事から豆本を愛好し、遠征の際にしばしば豆本文庫を携えていたと言われています。
事実、産業革命後に鉄道網が飛躍的に発達したヨーロッパでは、旅行用豆本が数多く出版されるようになり、西洋豆本の世界は一大黄金期を迎えるに至ります。
豆本の特異性に着目した第26代米国大統領セオドア・ルーズヴェルトは、1904年に大統領選挙戦の際のプロパガンダとして、”The Facts about the Candidate”(候補者の真実)と題した自伝豆本を出版・配布しました。
miniature book oval saloon Lilliput